第9回永田町子ども未来会議

自民党の野田聖子議員、木村弥生議員、民進党は細野豪志さんと私、公明党の山本博司議員らと厚労省、文科省、内閣府ならびに医療・NPO関係者が集まりました。子どものがんのターミナルケアの実態について、ぜひ皆様にも知って頂きたいと願います。

※勉強会次第(PDF

■テーマ

1.障害者総合支援法改正案の審議状況について   ☆配布資料(PDF

当勉強会で超党派議員より働きかけを続けてきた「医療的ケアを要する障害児に対する支援」(写真資料)が盛り込まれた同法案は、4月19日の衆院本会議での趣旨説明・質疑を終え、22日昼の衆院厚生労働委員会で審議入り、趣旨説明が行われました。来週以降の質疑、採決に向けて、勉強会メンバーとしても可能な限り質問バッターに立ち、今回の法案では十分にカバー仕切れなかった地域における医療・福祉・教育が連携した就学支援、卒業後の自立・就労支援などの課題を提起していこうと話し合いました。

2.がんの子どもの在宅緩和ケア   ☆配布資料(PDF

東京都でただ一人の在宅医療医、前田浩利先生(医療法人財団はるたか会理事長・あおぞら診療所松戸院長)より、前田先生がライフワークとして取り組んでおられる、小児がんのターミナルケアや看取りの実態について伺いました。

・小児がんは年間2,500人が発症し、現在も16,000人が闘病中
・大人のがんに比べて、成長期の子どもの癌は、白血病・脳腫瘍・骨や筋肉など、体の内側に発生する癌が多い
・日本は「治すこと」が中心の医療のため、緩和ケアとりわけ在宅緩和ケアが遅れている。世界的な医療雑誌の評価では、日本の大人に対する緩和ケアはレベル4と最高評価だが、子どもの緩和についてはレベル2評価(先進国の中でも遅れている)
・大人と比較した、小児がんの緩和ケアの特徴
―不条理感や受容の困難さ(死の恐怖によるパニック)
―人生全体に占める闘病期間の割合が大きい
―1分1秒でも長く生きて欲しいという親の思いに寄り添うケアが必要
(緩和ケアに対する抵抗、最後まで闘病による治療を望むケースが多い)

前田先生のコメントを引用してご紹介します。

「子どものがん 身体が崩れるようにして亡くなって行く。本当に切ない。背骨の神経が生きながらにしてがんで切断されていく。次に手が動かなくなって、最後は肺に転移して息ができなくなって死んでいく。子どもは体力があるので何年も抗がん剤で戦う親は生きるための治療を選択する」

「がんの子どもは、重症心身障がい児にも、医ケア児にも入らないので社会的支援を受けにくい」

「重症心身障がい児も長命、がんになる患者がでてきた。医療的ケア児の中にも、癌になる子どもが出てくる。もの言えない患者の痛みのコントロール、どこで看取るのかが重要」

医療的ケア児よりも、さらに光があたらないところで多くの子どもたちが壮絶に闘い、苦しみながらも生きようとしている事実を知り、本当に言葉も出ない程の衝撃を受けました。治すことに中心を置く医療から、それぞれの病状や人生に応じた緩和ケア医療を確立すること、そのための人材育成が急務であり、それは政治が果たすべき役割だと思いを新たにしています。

3.小児がん拠点病院・小児がんをめぐる状況   ☆配布資料(PDF
(厚労省健康局 がん・疾病対策課)

〇第2期のがん対策推進基本計画
・小児がん対策の充実
・小児がん拠点病院
-小児がんの病院の集中化
-日常生活、就学支援

・個別対応が必要
・まずは小児がん拠点病院の指定~全国各ブロックひとつ以上の指定

・就学就労を含めた社会的問題への対応
・AYA(思春期)世代のがん対策 生殖機能の温存など

■熊本大震災での医療的ケア児がおかれている状況

前田先生より、プレゼン冒頭に緊急のご報告がありました。熊本大地震で、一番中核となっていたNICU拠点病院が閉鎖。医ケア児はみんな県外の病院に一時的に移ったそうですが、受け入れがパンパン状態。

呼吸器をつけた在宅の子どもたちもいつ停電になるかと怯えている状況。また、両親が子どもを置いて避難所に支援物資を貰いに行けない、一緒に連れていくと列に並べずに、支援の輪から取り残されているという悲痛な声も上がっているため、まずは現場の状況を把握し、早急な支援体制の構築が急務。

⇒今週末、前田先生と小児科医のチームが熊本入りするので、緊急報告会を開いて政治がなすべき対応を協議予定。