2017.2.16 第12回永田町子ども未来会議

 

去る2月16日、今年初めての永田町子ども未来会議を開催しました。マスコミ4社が取材に来られ、医療的ケア児への社会的な関心の高まりを感じました。

冒頭に、渡部恵子中央区議会議員に紹介していただきました中央区有志の会(仮)による意見調査の結果を荒井より紹介させていただきました。子供たちの障害の程度および年齢により、ご両親たちの悩みが違うという結果が出ていました。この問題への対応の複雑さが示されています。資料1

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以下、第12回永田町子ども未来会議の概要を記載します。

  1. 「なければ創ればいい」 重症児者の地域生活を重症児デイサービスから創る

一般社団法人全国重症児デイサービス・ネットワーク 代表理事

特定非営利活動法人ふれ愛名古屋 代表                                              鈴木 由夫 氏

  • 重症心身障がい児ではない医療的ケア児に対し、多くの自治体で「重心判定」とならないため、重症児デイサービスによる医療的ケア児の受け入れは、一般デイサービスの報酬単価で受け入れることになる。そのため、定員5名の重症児デイサービスで、医療的ケア児を受け入れると、1名だと10%、2名だと20%の収入が減ってしまう。また、多くの自治体で、医療連携加算も認められていないため、医療的ケア児の行き場がなくない。受け入れ基準を厚労省の通達などで具体的に示すべき。
  • 看護師、機能訓練担当職員、児童発達管理責任者、嘱託医など、重症児や医療的ケア児に関して経験や知識がない方が非常に少ない。それであれば、そういったものを持ち合わせている重症児、障がい児、医療的ケア児の母親が研修や現場実習の場に参加して、伝えていくのはどうか。母親たちの就労支援にもなる。
  • 重症心身障がい児と医療的ケア児の支援には新しい「重症児複合型支援拠点」が必要。「ふれ愛名古屋」は、設立支援や運営サポートをしながら、福祉型短期入所、診療所、訪問看護、居宅介護、相談支援、育成研修、生活介護などを含む多機能型拠点となることを目指す。
  1. 「学校における看護師の研修について」

文部科学省 特別支援教育課 特別支援教育企画官                             森下 平 氏

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  • 特別支援学校に配置している看護師の専門性の向上のための研修の実施状況(平成27年度)につき、そういった研修はすべての都道府県で行われている。
  • 医療的ケアを行う看護師を学校に配置する際の経費の補助について、平成29年度では配置人数を平成28年度1,000人から1,200人に増やしたい。
  1. 「看護師教育の技術項目と卒業時の到達度」

厚生労働省 医政局看護課 課長                                             岩澤 和子 氏

資料3

  • 口腔内、鼻腔内、器官内吸引につき、看護師教育の卒業時には、モデル人形を使い学内演習で実施でき、新人看護局員研修にて1年以内にできるようになることが、ガイドラインにて定められている。

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  1. 「医療的ケア児・高度医療依存児、情報共有のための提案」

全国医療的ケア児者支援協議会 部会長                                   小林 正幸 氏

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  • どの程度の医療的ケアが必要なのか、見た目ではわからなくなっている。
  • 必要な対応も、知的障害、肢体障害、医療的ケアの有無と程度により、異なってくる。
  • 災害時などの時に、どのような医療的ケアが必要なのか、わかりやすいように医療的ケア者手帳の配布を提案する。手帳は、紙のみならず、QRコードやアクセスキー等を通じてオンラインで情報にアクセスできるようにするのが良いのでは。

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  1. 「学校における医療的ケアの問題」

医療法人在団はるたか会                                                           前田 浩利 医師

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  • 医療的ケア児をめぐる諸問題の背景にあるのは、(1)各都道府県の医療的ケア委員会の議論のプロセスが不透明(医学的あるいは社会的な妥当性がたもたれているか疑問)、(2)学校での看護師の管理、(3)医学管理の責任が医師に帰着する仕組みの未整備(現在は、校長が学校での医療的ケアの責任者)。
  • 学校での医療的ケアのあり方に関して、専門委員会を作り、その中に当事者や有識者も入り、透明性の高い社会に開かれた議論を行い、全国的なガイドラインを作る。それをもとに各都道府県が各地の実情に即して運営する。その運営は、医療的ケア児を支援する医療・福祉・教育の協議の場に任せる体制にする。