第2回 格差解消と消費税を考える会

格差解消と消費税を考える会、第2回会合を開催しました。

ゲストは、藤井聡 京都大学大学院教授です。「消費増税が日本経済を破壊する」と安倍政権の内閣官房参与を辞職したことでも有名な方。
データ満載でスピード感溢れる藤井節をお伺いした後に、参加者それぞれの賛否の見地から、活発かつ本質的な議論を戦わせました。ゼロベースで頭の体操をしてみる、非常に面白い議論でした。

◾️主な議論内容
・減税は時限立法的でも良いのか。インフレ時には再度の消費税引き上げを肯定すべきか
・インフレで財政支出をコントロールする際、インフレ率2%目標時の適正な政府支出の規模
・国債の引き受け原資
・成長を促す政府投資の分野

私からは、以下の発言をしました。

「藤井先生の話は、ある意味で革命的。直接国債を引き受けないという財政法と真っ向から対立する。各省の立脚する根拠法令があって、財務省は財務の健全化。日銀はインフレを防ぐためにあるというのが日銀法の趣旨。いまの法律ではできないとなったときに、財務省設置法、財政法、日銀法も改正しなければできない。これは大変な大仕事だが、藤井先生はどう考えているのか」

対して、藤井先生からはまたしても興味深い回答がありました。

「まさに荒井先生の言うとおりです。最終的には法改正をして変えていくべき大きな問題。日銀はインフレファイター。経済学理論もつくりあげられた当時、デフレの概念はなかった。

MMT理論のステファニー・ケルトンが先日来日した時に、60人ぐらいの記者のうちの2/3が、インフレどうするんですかの質問。ケルトンは最後には、20年ぐらいデフレの国でインフレの心配ばかりしていると笑っていた。ガリガリの35キロの人が、私これ食べたら太ると心配しているようなもの。健全な中肉中背を目指す上で、デフレファイティングも重要。」

「戦後、財政法のなかで国債発行をできないようにした組織がある。
白洲次郎らが関わって、憲法9条改正しないようにすることとセットで。建設国債、特例国債だけは除外したが、国債刷ったらだめとか、60年召喚ルールを敷いた。戦後レジームの毒矢を変えていかなければならない。」

 

◉藤井聡教授の講演ポイント
・消費増税で実質消費の伸びが鈍化
・消費増税は、リーマンショックの何十倍もの経済被害をもたらした
・8%増税後、賃金も激しく下落。
▶︎10%増税によって、サラリーマンは年一回、50万円の入ったサイフを落っことすの刑が無限につづくのでは、消費が伸びるわけがない。

・日本は「世界一」かつ「世界唯一」の衰弱国家→結果、プレゼンスは激しく縮小(写真)
・国民全体が、年収135万円も貧困化
▶︎所得分布の山のピークは、世帯年収200万円ぐらいのところにシフト

・消費増税で貧困化→消費減→総税収も激しく下落
▶︎貧困化によって所得税も所得税率も低下
▶︎年収100〜200万円ぐらいの人は所得税は5%ぐらいしか払っていないが、消費税は一律課税であり、逆進性が非常に大きい
▶︎インフレ時の法人税は7割、いまは3割程度
▶︎赤字国債発行額が激増
▶︎消費増税は、法人税減税の穴埋め原資として活用されてきた

◯処方箋
①税制改革:消費減税法人増税
キャピタルゲインの金融所得課税を総合課税へ
②成長を促す様々な「政府投資」等
・具体的には防災投資、地方の基礎インフラ、科学技術投資
③構造政策:賃上げ、物価上昇を促す制度設計
・最大の経済対策は貧困対策
医療・基礎的な公的サービスの賃金、地方の最低賃金をあげるような補助の仕組み
・適正価格誘導(ダンピングや過剰競争が起こっている)

次回、第3回目は、12/1に映画「子どもたちをよろしく」の上映会を開催します。本勉強会の世話人でもある 前川喜平 さん、#寺脇健 さんらが製作した、子どもたちをとりまく貧困・虐待や教育格差のリアルを描いた映画です。

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