中間貯蔵施設を視察(大熊町側)

中間貯蔵施設に向かう道路に、大型トラックが多い。目的地に近づくにつれて、環境省のゼッケンをつけフレコンバッグを満杯に積載したトラックの数がどんどん増えていく。

線量が高い区域のため、車外に降りるためには防護服の着用が必要です。当日は情報センターの休館日だったため、現場への負担を最小限に抑えるべく、大熊町側から車中視察をしてきました。

膨大な敷地のなかに、9つの受入・分別施設と、10箇所の土壌貯蔵施設が点在し、高濃度汚染土壌を焼却溶融して減容化するための施設が建設中です。全体の1割にあたる、谷地にある最大級の土壌貯蔵施設では、ブルドーザーや重機が数十台稼働して土壌を敷きつめている作業状況を目視しました。

フレコンバックを開封してベルトコンベアーで分別施設に搬入。敷地内に9箇所ある施設がフル稼働

想像を絶する、夥しい除染土の量に圧殺されて、文字通り言葉を失いました。防水シートの上に貯蔵土を敷き詰め、上から土をかぶせて、30年間保管することになります。再生利用を進める実証事業が始まっていますが、わざわざ畑や水源地の近くで、汚染土壌をすき混んで拡散するようなやり方では地域住民の理解が難しいと感じます。

最大規模の土壌貯蔵施設。奥の方から貯蔵作業中。固形物に付着した線量を落とすための水処理施設が左手奥に

運び込まれる土壌の8割が一般廃棄物の基準である8,000ベクレル以下の土。線量が高い2割については、来年3月に焼却施設完成してから減容化した上で、焼却灰を遮蔽効果98%ほどの分厚い鋼製の容器にいれて保管することになるそうですが、10万ベクレル超えとなる高濃度土壌の最終処分方法もまた定まっていません。

高濃度除染土を減容化するための焼却施設を建設中。来年3月に稼働予定

◯荒井所感
福島第一原発の廃炉にかかる遠大な歳月と事故により発生した膨大な社会的コストを勘案しても、原子力の商用利用は持続可能性とはほど遠い。

英米仏も実現不可能として事実上撤退した核燃料サイクルという幻想を正視するとともに、トイレなきマンションと言われる最終処分問題をどう決着していくのか。

本当に困難な課題であり、取り返しのつかない事故を起こしてしまったのだという悔恨の思いにとらわれました。この惨状を二度と起こしてはなりません。

原発に依存しない社会、エネルギーシフトのために、私も持てる力を尽くします。

津波で破壊された公民館や車がそのまま残っています

■中間貯蔵施設の現状

・用地買収を進めると同時に、取得したところからJV方式で施設を建設している。土壌受入施設が完成したところから、順次、仮置き場のフレコンバッグを運び込んでいる。

・用地取得率は、70%ぐらい。公共用地を加えれば8割ぐらい。所有者不明の土地や避難した地権者を探すところから始めた用地取得も順調で、強制収容はせずに譲ってもらっている。

・これまでに運び込んだ汚染土壌は、35%程度。フレコンバッグ1個≒1リューべ。全体で1400万リューべのうち、450〜460万は運び込んでいる。敷地内の随所に未処理のフレコンバッグが山積になっています。

・段階的に輸送を進めており、今年の目標は400万個(去年の2倍を超えるペース)
あと2年半程度で、人が住んでいる地域の仮置き場の分は搬入を終える目標。

■設備稼働について

・受け入れ分別施設は9箇所。フレコンバッグを開封して、ベルトコンベアーで受け入れ施設に搬入。震災ゴミや石を取り除く作業の後に、埋設保管する。

・1日当たり、2700台の大型トラックで搬入しており、3000台まで増やす予定。(各地から集積したトラックが受け入れ施設前で順番待ち。半日待ちの場合も)