2019.11.28.原子力問題調査特別委員会(一般質疑)

3.11原発事故当時、民主党政権において原発収束対策問題の責任者だった立場、また、福島原発の廃炉や復興を進める上で信頼回復が不可欠であるとの認識から、原発関連諸課題の現況について確認いたしました。要旨をこちらでご報告します。

詳細な議事録はこちら令和元年11月28日原子力第2号04_荒井聰委員から

【1】浸透性の高い処理水を凍土壁で止めるのは困難という認識から、現状の見解を経産省に確認し、その上で、効果は小さく費用は数百億円かかる今の工法を再度議論すべきと指摘しました。

<経産省の回答>

凍土壁の地下水の遮水効果は明確に認められている。2014年5月の日量約540トンから2018年平均では日量170トンに減少しており、凍土壁は十分に効果を発揮していると考えている。

【2】 用地取得や膨大な汚染土壌を受け入れる地元への課題を抱えていた、福島の中間貯蔵施設の現状を環境省に尋ねました。

<環境省の回答>
仮置き場を早期に解消することにより、地域住民の安心につなげる必要があると認識している。中間貯蔵施設の整備については約7割の用地を取得している。苦渋の思いで受け入れてくれた地域住民に感謝し、安全第一として引き続き進めたい。

【3】 台風19号の影響で除染廃棄物のフレコンバックやその中身が流失したことに対し、管理と責任について環境省の見解を伺い、加えてハザードマップを踏まえた対策を提案しました。

<環境省の回答>
台風19号によって、4つの仮置き場で推定90袋の大型土嚢の流失が確認された。11月26日現在で29袋を内容物が流出した状態で回収したが、35袋が未発見である。引き続き把握に努めたい。また、周辺において空間線量や水質への影響は確認されていない。再発防止のため、大型土のう袋については搬出計画を前倒して、年内をめどに搬出予定である。原因を検証し、仮置き場の管理を強化するための対策を検討したい。

【4】 福島県の県民健康調査における甲状腺検査について、当事者が行政に信頼を持てないことや過剰診断の実態により混乱している状況への見解を環境省に伺いました。加えて、参考となる低線量被ばくの研究事例がないことやチェルノブイリ事故での甲状腺がんの発症が事故後8年以降から増えた事例を踏まえ、石原環境副大臣に引き続き検査の継続を求めました。

<環境省の回答>
・放射線により甲状腺がんが増加している可能性については完全に否定されるものではないことや、受診者がもともと持っていた生命にかかわらないがんも診断してしまっている可能性が高いことなど、科学的知見から指摘されている情報の発信については従来から対象者や保護者に対して説明を行ってきた。加えて、甲状腺検査の案内文を改訂し、検査のメリット、デメリットを丁寧に説明している。今後とも正しい知識の発信、普及に努めてまいりたい。

<石原副大臣の回答>
・がんの全体罹患率、死亡率は事故の前後において大きな変化は認められないと判断している。また、福島県民健康調査で見つかっている甲状腺がんについては専門家会議において現時点で放射線の影響とは考えにくいという趣旨の評価がなされている。これらを踏まえ、環境省としては正しい情報の国内外への発信に力を入れている。

 

【5】 原子力規制委員会が三条委員会という独立性の高い委員会として設置されたことの象徴的なものがバックフィット制度であるという認識について更田原子力規制委員長にお伺いしました。

<更田原子力規制委委員長の回答>
・バックフィットは当委員会が原子力安全の継続的な改善を進める上で、あるいは、事業者にとって予測される危機への投資判断について規制当局と共通理解を醸成できる有効な武器だと考えている。この制度を適切に活用して、国民の信頼を得られるように厳正な規制を進めてまいりたい。

【6】 汚染水の海洋放出を巡る韓国との問題に対する牧原経産副大臣の見解を伺いました。

<牧原経産副大臣の回答>
・この問題では風評被害対策が重要であると認識して取り組んでいる。その観点から韓国政府には、事実確認及び科学的根拠に基づく対応を求めていくとともに、国際社会に対しても引き続き丁寧な説明を行いたい。

【7】 福島原発の廃炉や復興を進める上で、信頼回復が不可欠であるとの認識から、「子ども・被災者支援法」の趣旨に基づく自主避難者への支援状況や今後の対策について、復興庁に丁寧な対応を求めました。

<復興省の回答>
・法の趣旨に基づき、自主避難者の方が家を確保されたのちも、もともとの繋がりの維持などに福島県が取り組んでいるので、それに対して財政面やその他協力で支援している。復興庁設置11年目以降も長期避難者等の対応を引き続き進めたい。

 

当日の質疑動画を衆議院TVアーカイブでもご視聴いただけます。
http://www.shugiintv.go.jp/jp/