2020.05.19 衆議院原子力特別委員会

5月19日(火)に開催された、衆議院原子力特別委員会にて質疑に立ちました。汚染水処理問題や風評被害対策における地元自治体との信頼関係の重要性、自主避難者数や生活実態の把握と住宅支援継続等の支援策、核燃料サイクルの矛盾等について議論いたしました。

資料:衆議院原子力問題調査特別委員会議事速報

1)福島第一原発事故の自主避難者の状況と今後の支援対策について

〇荒井聰発言

  • 日本の原子力政策においては、国と地方自治体の適切な信頼関係が不可欠だと考えますが、福島県とは真の信頼関係はできていないのではないかと思います。国は本当に誠意を持っているのでしょうか。地方自治体の方たちを巻き込んだ政策推進が必要であり、効果的だと思います。
  • 自主避難者した方たちの現在の生活実態を悉皆調査する必要があると思います。国策で故郷を追われて自主避難した方たちは、経済な困窮や、家族の問題を抱え、メンタル的にも厳しい状況にあるのではないかと思います。10年目を期にこれまでの対策の評価をするのは国としての責務だと思います。
  • そうした不満が募っていることが訴訟として表れています。現状はどのような状況ですか。

〇更田原子力委員長の回答

  • 福島第一原発の廃炉作業や廃棄物処理の進捗は、地元や地方自治体との関係が大きなポイントになると認識しています。

〇横山復興副大臣

  • 避難者の実態については、全国に設置している生活再建支援拠点の相談対応などを通じて把握していて、引き続き、各所と協力して生活再建支援に取り組んで参ります。

○経済産業省の回答

  • 国が被告となっている訴訟はまとめて34件あり、原告の数は約1万1千人です。そのうち11件については地裁にて9件の規制権限不行使の違法性が認められています。

 

2)福島第一原発の汚染水処理の進捗状況・今後の政府方針について

〇荒井聰発言

  • 現在、汚染水処理を管理している工法は、電気料金などの経費も日々かかり、完全には浸水を防げてはいません。他の安定した工法に切り替えるべきではないかと思います。
  • ALPS処理水の対応については、新たな技術開発や今の敷地を拡大することを検討すべきではないかと思います。

〇中野経済産業大臣政務官の回答

  • ALPS処理水の取り扱いは、国の小委員会にて、技術的な観点や風評被害などの社会的影響等総合的に検討してきました。その報告を踏まえ、地元自治体や農林水産関係者の意見をうかがう場を開催しています。実際の処分までに残された時間を踏まえ結論を出してまいります。

3)日本原燃の再処理工場(六ヶ所村)の審査状況について

〇荒井聰発言

  • 六ヶ所村の再処理工場の審査では、B5b(注1)の審査されたのでしょうか。更田原子力委員長がこの件について経産大臣に確認をされたことは経産省から規制機能を分離したからこそできたことだと思います。

(注1)米NRCによる対航空機テロなどを含むシビアアクシデント対策勧告

〇更田原子力委員長の回答

  • 航空機の落下、衝突に加え、墜落に伴う火災についても審査をしています。初の大きなサイクル施設の審査なため、経産産業大臣にはエネルギー基本計画に則っているのかを確認しました。

4)日本における使用済み燃料貯蔵量と今後の計画について

〇荒井聰発言

  • 核燃料サイクルはもう限界にきています。現在の国内の原発の実態とエネルギー基本計画やプルサーマル利用計画はあまりに乖離しすぎていて計画自体が非現実的であり、政府もそれをわかっているはずです。政治的な決断をするべきだと思います。

〇経済産業省回答

  • プルトニウムはエネルギー基本計画において利用目的のないものは持たないという原則があり、保有量削減に取り組むことになっています。現在国内にあるものと、今後六ヶ所村の再処理工場から出る想定量を併せたものは現在稼働している4基を含む計18基程度のプルサーマル炉を稼働させることで長期的に消費ができる見込みです。

5)原子力政策に関する内部告発について

〇荒井聰発言

  • 原子力政策に関する内部告発は適正に対応・処理されているのでしょうか。関西電力金品受領問題においても内部宇告発に近いようなことがあったのではないでしょうか。

〇更田原子力委員長の回答

  • 原子力規制委員会は発足当時から内部告発を受ける制度を運用していて、申告者の保護に注意を払いつつ早期処理し状況を公表することになっています。仮に電力会社の金品授受問題のような告発があった場合は、守備範囲外であることから、事業を所管する省庁などに情報を提供することになっています。

以上