2020.02.27.第25回永田町子ども未来会議

党派を超えて、#医療的ケア児 支援を進めています。2月27日夕方、第25回目の #永田町子ども未来会議 を開催しました。

2021年障害福祉報酬改定に向けた議論をキックオフすべく、入念に準備を整えてきましたが、予算委員長解任・法務大臣不信任案提出を受けて、急遽4時間の衆議院本会議がセットされたため、私を含め衆議院側の議員メンバーは、全員、出席困難となりました。

大変残念な思いはありましたが、この会議には外部からも幅広い関係者が参加しているため、予定どおりに開催しました。私は終了5分前に何とか駆け込むことができました。

一切を取り仕切っていただいた参議院議員の山本博司先生に感謝致します。

■今後に向けた荒井の締め括り発言

25回目の会議開催となるが、前回の障害福祉報酬改定と「永田町子ども未来会議提言2017」以降、実現できた部分とできていない部分を総括する必要がある。2021年改定が、変革の最後の大きなチャンスになると感じている。定義や課題については、前田先生のペーパーに尽くされていて、最大の課題は財源をどうするのかの問題。

厳しい財政事情や社会保障費の自然増という制約があり、厚労省の障害福祉関係の予算全体を膨らませる事は難しい状況下で、どう財源を見つけていくのか。子ども子育て支援法の枠組みや企業型保育園の制度の中に医療的ケア児の問題を位置づけていくことや、在宅福祉関係で子どもに関わるものについては整理するなど、知恵が必要だ。課長クラスであっても大掛かりな仕組みは難しく、政治的な仕掛けや後押しが不可欠となる。コロナが収束したら、山本先生や野田先生とも打ち合わせしながら、企業型保育園の経費を外部財源に求めた時のような荒技も含めて、各党で具体論を用意して進めていきたい。

■テーマ ⇒内容の詳細は下記の添付資料にてご参照ください。

1. 2021年度障害福祉報酬改定に向けた議論・提起等

① 新判定基準の検討状況・報酬改定への提起医療法人 
財団はるたか理事長 前田浩利先生

【ポイント】

  • 前回の報酬改定では、十分なエビデンスの用意が間に合わずに新判定基準をつくることができなかったために、医療的ケアそのものへの支援ではなく、「協議の場」やケアマネージャーに相当する職種の育成となった。唯一直接的だったのは、看護師配置加算の新設。
  • 医療的ケア児とは誰かの定義を明確にしなければ、誰を助けるのかという直接的支援の仕組みをつくることは難しい。コーディネートの機能をしっかりつくっても、退院した子どもたちが、すぐには障害福祉の制度を使えないという弊害がある。
  • 日常的に医療的ケアが必要な子は、「医療的ケア児」と定義すべき。今回の厚労科研費の研究班では、見守り度のスコアを追加する方向で最終調整中。
  • 子どもたちの状態像でスコアは明らかであり、医師または主治医がスコアを判定する

② 前回改定の経緯・次期改定への重要問題と提起
社会福祉法人むそう 戸枝陽基理事長

【ポイント】

  • 前回改定で新設した看護師配置加算の要件が厳しすぎることから、結果的に事業所は増えておらず、医療的ケア児の預かり先も増えていない。加算が取れたのは全体の僅か4%
  • いま一番困っているのは、動きまわり、知的障害がない医療的ケア児。(医療的ケア児の存在を想定しなかった)大島判定では重心認定されず、また4歳以下は判定されないので福祉サービスの対象外となっている。心ある自治体の行為を現状追認して、支援体制を構築して欲しい。
  • いまは、社会のなかに医療的ケア児が生まれてだいたい15年目。それでなくても看護師不足が顕著であり、親が亡くなった後、すべてのケアを看護師でやれるのか?
  • 医療的ケアをできる職種として、介護職などの範囲拡大が必要ではないか。
  • 障害児の認定・判定は6ヶ月状態が固定してからであり、今は、なんの福祉サービスもないまま退院させられている。まさに真っ暗闇に親子で突き落とされるような不安。客観評価をつくらなければならない。

 

③ 現状説明と今後の見通し
厚生労働省障害福祉課 源河課長 発達支援室 本後室長

【ポイント】

  • 2021年4月の改定に向けた議論は、2/4からキックオフ会合。4月以降に本格議論が始まる。調査結果の分析、団体ヒアリングを予定している。
  • 体制全体の課題としては、市区町村に1箇所以上の「協議の場」の設置、コーディネーター配置を基本として目標に定めてもらう。コーディネーターの位置づけや役割も明記していきたい。他職種が協働して、個々の発達段階に応じた支援を進めていきたい。
  • 報酬改定の話では、30年の改定の看護師配置加算は、現在279事業所が現在取っているが、条件が厳しいことが取りにくい原因となっている。加算を取れた事業所数の推移は、あまり増えないままだったのが、2019年10月の数字で30事業所増えており、今後の動向を見守る。
  • 要医療児者支援体制加算、コーディネーター配置加算については、事業所が増えている。
  • 新基準については。前田先生たちの研究班で厚労科研の医療的ケアの取りまとめを行って頂いている段階。今後、通所支援の実態調査や居宅訪問型児発の対象者の調査も実施する。

2. 平成30年度特別支援教育に関する調査結果概要

佐々木 邦彦 特別支援教育企画官
(文科省 初等中等教育局特別支援教育課 )

【ポイント】

  • 学校配置の看護師も21年からは倍増、3号研修の教職員は横ばい。
  • 医療的ケア児の通学籍:訪問籍の割合は、概ね 3:1 。 小中学校に在籍する医療的ケア児数が増加している。
  • 通学における親の付き添いの状況
    通学する医療的ケア児のうち、付き添いは460人(全体の8.1%)
  • 令和2年度文科省予算において、学校への看護師配置事業における定員を2,100人に拡充する。

3. 居宅児発と通所を併用に関するご提案

認定NPOフローレンス代表 駒崎 弘樹氏

【ポイント】

  • 看護師加配加算について、放課後デーサービス事業者に至っては、配置加算を取れているのは2%のみ。全体でも4%
  • 居宅児発と通所を併用できない問題を再提起。通所施設へ通うための移行期間は併用可能とされているが、厚労省の通知がネックとなって、自治体現場で併用を認められないケースがほとんど。外出困難な医療的ケア児がたった1回でも通所施設に行ったら、二度と居宅訪問型児童発達支援事業は使えませんよと解消するのではなくて、社会的に移行できるまでは併用を認めるような柔軟な通知に変えて欲しい。

【厚労省回答】

  • 居宅自発の利用について、法律上は、「外出することが著しく困難であること」が前提。
  • 取り扱いは、一律に併用を禁止しているものではない
  • 「通所施設へ通うための移行期間として組み合わせることは差し支え無い」
  • サービス自体は、全国で100人程度であり、利用が必ずしも進んでいない状況 ⇒「移行期間における併用」の例示などの工夫を検討する

【山本議員】

  • 例示も含めて読み込めるように、通達も含めて検討を。

4. 一括質疑・意見交換など

山本議員

2月の重心デイサービス事業所の全国大会で、野田先生、荒井先生、山本とみんなで登壇し、ご要望をいただいた。全国で20,000人の利用者がいる。生活介護の利用や送迎加算についても、医療的ケア・重心ともに考えていただきたい。令和3年の報酬改定の中でしっかり議論していきましょう。

戸枝(質疑)

・学校看護師の医療的ケアは、「ほわわ」では介護士保育士がほぼやっている内容であり、教員の3号研修でできる内容。豊中市でさえ、看護師不足で来年度は期待に添えない可能性もあると言っていた。ヘルパーも入れてもらうなど、検討できないのか?

【文科省回答】

・3号研修の5つの行為について、学校では、看護師が医師の指示のもとに、連携してチームとしてやっている。学校現場では多忙化や働き方改革の問題もあり、さらに教員に負荷をかける体制をつくるべきなのかという議論もある。チームとしていろんな職種が力を合わせる体制で支えていきたい。

小林(親の会部会長)

・制度をつくっても、人材不足で運用が足りていない。リソースの見通しを立てた上で、枯渇するなら介護士などの対応を考えるべき。

 

【資料】
第25回永田町子ども未来会議次第
前田先生医療的ケア児支援について-2021年4月障害福祉報酬改訂に向けてvol.2
医療的ケア児者の制度支援体制報酬体系の論点社会福祉法人むそう-戸枝陽基
永田町子ども未来会議居宅児発提起その2駒崎弘樹

厚労省①医療的ケア児等の施策に関する最近の動きと令和3年度障害報酬サービス等報酬改定に向けて
厚労省②居宅訪問型児童発達支援と通所の併用について

厚労省③新型コロナウィルス感染症対策の基本方針
厚労省④事務連絡新型コロナウィルス感染症に係る医療的ケアを必要とする児童への対応について

文科省平成30年度公立学校等における医療的ケアに関する調査について

以上