2020.06.10. 第27回永田町子ども未来会議(初のライブ配信)

2021年度障害福祉報酬改定に向けた議論を大車輪で進めています。

医療的ケア児の新判定基準に基づく新たな報酬体系の創設を軸とする、「永田町子ども未来会議提言2020」を6月中にまとめるべく、今月は18日、26日のあと2回開催します。

新型コロナの感染対策に留意し、当面の間、傍聴参加を中止しているため、NPO法人フローレンス事務局の全面協力によって、今回よりライブ配信を開始しました。

リアルタイムで情報発信と同時に、WITHコロナ時代の変化に柔軟に対応して、スピーカーの方々が会場に来るのが難しい場合には、リモートやビデオ参加も積極的に取り入れて、議論のオープン化に努めていきます。

■アーカイブ動画こちら

■資料
01_第27回永田町子ども未来会議次第
02_永田町子ども未来会議について
03_提言
04_厚労省20200610未来会議資料
05_永田町子ども未来会議200610_前田浩利
06_医療的ケア負担度調査レポート
07_医療的ケア判定スコア改定案過去のスコアも含めて
08_20年6月提出版医ケア児加算提案
09_永田町子ども未来会議_資料_小林正幸
10_永田町子ども未来会議_小林正幸
11_小島敬子2020.06永田町子ども未来会議配布資料
12_未来会議_資料_本橋昌子
13_資料1_20200423_新型コロナ不安アンケート結果最終集計
14_資料2_新型コロナウイルスに係る要望書
15_資料3_ウイングス課題提言資料
16_医療的ケアを必要とする児童への対応について

■冒頭:荒井挨拶・提起

報酬改定の最大の課題は、医療的ケア児の定義ができないことだった。大島分類に変わって下敷きとなるスコアを前田先生たちがつくってくださった。約50年ぶりとなりますか、前田分類をもとに、必要なら議員立法で支えていく。また、大きな課題のひとつとして、全国を網羅的にカバーする正式な親の会、家族の会をつくるような動きをしてはどうか。

■テーマ ⇒内容の詳細は、添付資料にて(都合により、配布次第の順序を入れ替えて進行しました)

1.『永田町子ども未来会議提言2020』に向けた提起①   

【当事者ヒアリング】新型コロナ関連要請・中長期的課題など

☆ご家族の皆様の思いや切実な願いは、ぜひ動画で肉声をご覧下さい。


①総括&進行 小林 正幸さん(全国医療的ケア児者支援協議会 親の部会 部会長)

【サマリー資料:医療的ケア児者への支援体制 意見書構成】

  • 本日は、「永田町子ども未来会議2020提言」に向けて、当事者のためのお話の時間をありがとうございます。コロナ禍で、自治体からの支援物資を届けられない、短期入所もクローズで親がコロナにかかった場合の預かり先がない等の問題が鮮明に。居場所の把握、重心認定や介護士活動範囲の拡張、生きるためのインフラとしてのICTの推進、短期入所の増設などの課題について、3名からお話します。
  • 本橋さんのお子さんは19歳の歩く医療的ケア児で、我々の未来像です。
  • 次は親が倒れるか子どもが倒れるかという状況。

②小島 敬子さん(東京都 ロシア語通訳 きた医療的ケア児者家族会)

  • 娘のきょうこちゃんは、特別支援学校の2年生。半年前、ある国との友好議連の通訳の仕事で、この会場(衆議院議員会館の国際会議室)の通訳ブースにきた。この子が生まれてからずっと、子育てと就労の両立を願ってきた。
  • 昨日、東京都ホームページで人工呼吸器のガイドラインが公開された。学校看護師が呼吸器管理を行うことが明記されたのは大きな前進だが、親の付き添いが必要。
  • 付き添いからの解放を困難にする要因を配付資料に記載した。
  • 子どものことをよく知る訪問看護師が医療保険の枠内でつきそう制度が一番望ましいが、今の法律ではできない。長期間の付き添いや費用負担から、さまざまな制度や複数の訪問看護ステーションの事業者を組み合わせて利用できないか。看護師資格を持つベビシッターの活用についても提案(内閣府のベビシッター派遣の保護制度は、障害児は小学6年生まで。フリーランスは対象外)

③本橋 晶子さん(茨城県 医療的ケア児者減災ネットワーク 茨城事務局代表)

  • ビデオ参加:19歳の歩く医療的ケア児の息子さん・最重度の知的障害と無呼吸発作時の酸素吸入・導尿の医療的ケアが必要。多臓器の多発性腫瘍により抗がん剤治療。
  • 生活介護事業所に週4日、医ケアがあることから送迎サービスなし。1日4時間を送迎時間に費やしている。医療的ケアを受け入れてくれる施設はほぼない。
  • 市の福祉センターでは、基本的に車椅子上の生活が利用の条件。言語理解もなく静止もきかず、危険認知もないので他の寝たきりの方々の安全確保のために、車椅子の拘束を飲むしか受け入れ先がない。短期入所施設は、茨城県の全施設で断られ、千葉 埼玉、群馬でも今のところすべて受け入れ先がない。歩けることが最大の理由。
  • てんかん発作 日に10回以上。慎重174㎝、体重56㎏の子を毎日抱えて車に乗せお風呂に入れる全介助が親の負担。息子が生まれてからまったく離れたことがなく、親に帯するレスパイトの時間も本当に必要な状況になっている。

④本郷 朋博さん(東京都 ウイングス医療的ケア児などのがんばる子どもと家族を支える会 代表)

  • コロナに関する親の声を集めて、加藤厚労大臣に緊急要望をお願いし、事務連絡に反映していただいた(資料参照)
  • 親が感染した場合の預け先の確保が必要。介護保険のケアマネに相当する支援者が医療的ケア児にはいない。
  • 永田町子ども未来会議宛の提言課題6つ(資料参照)家族の実態が自治体に把握されておらず、地域間格差が大きい。消毒液が必要な家庭に届いていない。2,3本届いた家庭もあれば、まったく届いていない家庭もある。公平性が保てないという理由で、全部倉庫に眠っている自治体も。
  • 災害時の避難が難しい。受け入れ先、預け先、就労や学びの確保を。病名がつく前のお子さんは、医療的ケアがあっても支援が受けられない。

2. 2021年度障害福祉報酬改定に向けた議論・提起等  

① 現状説明と今後のスケジュール見通し
本後   健 氏 ( 厚労省 障害児・発達障害者支援室長 ) 

  • 経営概況調査を2月に実施、2~5月は改定についての内部検討の時期だったが、現在までほぼコロナ対応に全力傾注しているおり、省内でも具体的な検討作業は進んでいない。前回改定では6月から団体ヒアリングを実施しており、今後の予定としては、6月からスタートできるかは不明だが、8月までに団体ヒアリングを実施予定。

② 医療的ケア児支援について―2021年度障害福祉報酬改訂に向けてー 
前田  浩利 先生 ( 医療法人財団はるたか会理事長 )

☆動く医療的ケア児の見守り度の重要性の検証動画参照(39分頃から約3分)

  • 先ほどウイングスさんがおっしゃったように、都内で1000人近い医療的ケア児の在宅支援をしているが、コロナで脆弱性が明らかになった。お母さんがコロナにかかったら、どこにも行くあてがない。前回改定では、判定基準が間に合わず、看護師配置加算ということで仕方なかったが、医療的ケア児そのものをケアする仕組みをつくっていくべき
  • 厚労科研で、元埼玉医大教授の田村先生をヘッドとする研究班による医療的スコアの経緯のご説明あり(動画・資料参照)。スコアそのものを新しくつくりなおしたのが最後の判定スコア表であり、研究班としては決まり。厚労省に研究報告書として提出した。従来になかった見守りスコアを入れた点が決定的な違い。
  • ひとつでも医療的ケアがあったら、3点以上のスコアで医療的ケア児と定義される。
  • 新スコアは、状態によるので判定が非常に容易。リスクは、主治医であればすぐわかる。見た目の状態像と、医者のリスク判断があれば瞬時にスコアが確定する。
  • 資料1:このスコアをもとに報酬をくみたてていくのが望ましい。合併障害や行動障害などの重複をしっかり支援していくべき。
  • 現在の障害固定の考え方では、法的には支援制度があっても、退院直後に実際にはほとんど使えるサービスがないことが問題。退院したとたんに、吸入や注入が必要なのに病院にいるときもそうだが、退院直後に家庭に支援が入れない。
  • 動画からわかるように、医療的ケアそのものも大変だが、状態によってケアが違う。ひとりひとりの子どもに対して、まつわるケアの大変さやリスク評価をしっかりやっていくべきだろう。

③ 新スコア(案)に基づく医療的ケア児判定基準を柱とする制度設計要望
駒崎 弘樹 氏 (全国医療的ケア児者協議会 事務局長)  

  • 時間が押しているので、提出資料に基づいて短く。
  • これまでは定義やスコアがなかったので配置加算しかなかったが、大島分類に変わって新判定スコアがつくれれば、1人当たりのケア加算が実現できる。
  • 加算設計の具体的な叩き台の相場観として段階的設計案をお示ししている。これで重心児単価とほぼ同様になって、採算がなりたつ仕組みになれば受入先が増えていく。
  • 見守りスコアの導入に賛成。医療的ケアだけではなく、重心児でも抜管してしまうなど、広い意味での見守りが必要。ひとしく、重心でも動く医ケア児でも、医療的ケアがあれば、医療的ケア加算がつくように。
  • 新しい「前田基準」をもとに医療的ケア児加算がつくられ、医療的ケア児家庭が支えられ、助けられるように、我々医療的ケア児者協議会一同、心から願っています。

■質疑・意見交換のポイントメモ

野田 聖子 衆議院議員

教育の話でいうと、ずっと私自身もたたかっているが、特別支援学校の考え方と医療的ケア児は必ずしもフィットしていない。特別支援学校は縦割りの世界。肢体不自由なのか、知的なのか視覚か聴覚かで分けられ、ただし医療的ケアはしませんと。

いままでの障害が縦糸なら、医療的ケアは横糸。発達障害もIQで分けている。軽度は普通小学校で、重度なら特別支援学校、医療的ケア児もそう。医療的ケアだけだと、知的レベルが高い子は結局どこにもかかわって来れない。制度そのものが医療的ケア児という縦糸がない状態では、特別支援学校も迷惑だと思う。縦糸を通すのか、横糸をつくるのか。そこを早急に文科省で特別支援学校のあり方を変えてもらいたい。

前回の法律で十分に文科も厚労もわかったんじゃないかと期待したが、厳しい法律をつくらないと。もし、行けるというのであれば、今日のプレゼンですみやかに動いて欲しい。

木村 弥生 衆議院議員

小島さんから看護師の特定行為や外国人看護師の提案。

現実にはなかなか具体的には難しいかなとは思うが、役割の拡大は職種を問わずこれからあると思うのでしっかり受け止めて。

2014年12月に初当選してすぐに未来会議ができて、ここまでやってきた。開催履歴をみてつくづく思うわけです。荒井先生、野田先生と色んなところも見に行った中で、法律に明記されて6年。大島分類の時代にはいなかった、制度から漏れているお子さんやご家族をどう支援していくか。次の改定で提案にそったかたちでどう現実にしていくのかに注力していきたい。

堀越 啓仁 衆議院議員

前回、前田先生が示していただいたスコアについて、地元で関係者に見ていただいた。非常に評価が高いと思う。やはり、看護師加配加算は非常に取りづらい中で、これが導入されることで現場が変わるのではないか。かなり、導入して欲しいという強い声があることをまず伝えると同時に、支援がスコアリングによって決定していく流れで、現場で子どもが選ばれるようになってしまうのではないかという懸念も。

細野 豪志 衆議院議員

画期的な分類ができた、改定されることを期待したい。ここ5~6年で地元静岡でも医療的ケア児が増えてきている。数は増えてきているが、地方は受け入れ先の体制が整っていない。報酬はできても、実際にサービスを提供できる業者がほとんどないということになる。

スケジュールは理解できるが、こういう制度ができるのでと厚労省がきちんと事前に周知しないと、絵に描いた餅になる。地方に伝える作業をちゃんとやってもらいたい。

戸枝 陽基 氏(社会福祉法人むそう NPO ふわり 理事長)

児童福祉法に位置づけたのに、対策や報酬に反映されていない。令和3年の報酬改定ではそこをしっかりやってほしい。

重心判定をやめるということではなく、知的身体合わせた医療的ケアについての新判定基準を。報酬的な位置づけをちゃんと。

前田先生の動画や家族の資料をみて、発達障害の子どもたちが一番大変。

野田先生の話で、児童福祉法では医療的ケア児と定義したが、大人の医療的ケア者にはなんの対策もない。いまは何の法的根拠もない状態なので、医療的ケア児者支援基本法を整備いただければ。

荒井 さとし 

介護保険制度をつくったときの印象からいうと、介護保険制度まで含めるのは相当な抜本改正になるので数か月では難しい。

本後さんが一番悩んでいるだろうが、同じポケットからの取り合い。

医療的ケアの動向を他団体が心配してみている。

財源問題をどうするのか

子ども子育て支援法の枠組みのなかで障害児に消費税の分配をしなかった。既存財源でやれるのかというのは大きな課題。

色んな方策はあると思うので、政治家のなかでもOBにも相談しながらまとめていければ。

本後 健 (障害福祉課 障害児・発達障害者支援室長 )

報酬改定は必ずしも容易ではない。非常に厳しい議論を年末しなければならないのでは。そのなかで提案されたスコアをどう反映させていくか考えていかねば

野田 聖子 衆議院議員

常に一定枠のなかでシェアする発想をやめるべきでは。つくるのか、どこかから移管することを。

人口は減っているのに、障害児は増えている。これまでどおりじゃだめ。

木村 弥生 衆議院議員

限られたパイのぶんどり合戦じゃなくて、働ける方は働いて納税者に。働くときにヘルパーがいると報酬にならない 参議院の船後さんの問題。少し手助けすれば働いて、生きがいになるように 力強く思う。

荒井 さとし 

制度改正するときに障害者の範疇でいままではいろいろかんがえたが、乗り越える必要がある。

少子高齢化/出産リスクに対応するような制度。

労働人口が減っている 医療的ケア児のためにお母さんが家庭に縛り付けられる。有能な人材が労働市場から撤退していく(介護保険と同じ)。

提言をまとめていきたい。厚労と文科省には概算要求までに頑張ってもらいたい。

以上