2021.03.17.第33回永田町子ども未来会議

去る3月17日、33回目になる永田町子ども未来会議が行われました。新年度に向けて、この会議で一緒に取り組んできた仲間の異動も予定されていますが、医療的ケア児支援法(仮)も国会提出目前です。会議では各党の進捗確認、厚労省・文科省・総務省からは医療的ケア児関連予算と最新動向についての説明のほか、医療的ケア児と家族を支援するための「日本小児在宅医療支援研究会 家族連絡会」の発足などについてご報告いただきました。

なお、会議の内容は認定NPOフローレンスのご協力を得てライブ配信されており、録画映像もこちらからご覧いただけます。https://youtu.be/6NiKZpNzP5w

2021 年度 障害福祉報酬改定の概要報告

厚生労働省
障害福祉課 障害児・発達障害者支援室長
河村 のり子 氏

点数が確定し、公報するのみという状況。総論としては、かなり多数の項目において相当充実した改定ができたのではないかと思っている。特に通所の支援については、基本報酬の新設や看護職員の加配加算ができた。先生方や関係者の方々のご尽力のお陰。

各党の進捗状況

自民党
木村 弥生 議員より報告
文部科学部会と厚生労働部会合同部会にて一任を得た。順調に進んでいる。

公明党
高木 美智代 議員の報告を荒井代読

2月9日に法案概要についての議論を行った。医療的ケア「児」のみならず、医療的ケア「者」についても検討する旨を明記するべきではとの意見あり。委員会の一般質疑で行い、委員会決議で対応することで了承。

3月11日、法案審査として文科厚労障害福祉委員会合同会議にて了承。16日の政調部会長会議にて了承。部会長会議では、看護師配置などは一気に進めることは困難であるが、どのように考えているか、市町村の関わりがどうなっているかなどの質問あり。

今後、自民党の手続きが終わり次第、与党政策責任者会議に提出される。

立憲民主党
荒井より
厚労、文科、子供子育ての合同会議にて審議の上、了承。

国民民主党
荒井より
明日予定されている部会において話し合いの予定。

共産党
荒井より担当の宮本議員を訪問。近日中に共産党としての部会を開催し、審議の予定。国体レベルで理解しているため、大きな問題はないだろうとのこと。

維新の会
自民党より調整。党の手続きにより進める予定との報告。

れいわ新撰組
後ほど舩後議員より

※追記事項
3月22日 自民党政調審議会と総務会にて了承
3月25日 与党 政策責任者会議にて了承
3月18日 国民民主党 部会了承 / 19日 全議員会議で了承
3月19日 共産党 国対関係者会議で了承
4月7日 維新 部会了承予定

 

各省の医療的ケア児関連予算・施策の最新動向

厚生労働省
障害福祉課 障害児・発達障害者支援室長
河村 のり子 氏

令和3年度予算において、モデル事業として実施している医療的ケア児保育支援事業を一般事業化するとともに、喀痰吸引等研修を受講した保育士が「医療的ケア児保育支援者」として管内保育所の巡回支援を行う場合、処遇改善を実施する。

  • 障害児受け入れに伴う補助事業 1支援単位あたり年額195万円→403万円に拡充
  • 在宅医療関連講師人材養成事業

文部科学省
初等中等教育局 特別支援教育課 課長補佐
右田 周平 氏

令和2年度は看護師配置が2100人だったものを2400人に予算拡充。

また、中学校区に医療的ケアの実施拠点校を設けるなどして、地域の小中学校等で医療的ケア児を受け入れ、支える体制のあり方を調査研究する。

看護師などの研修等も引き続き行っていく。


総務省
自治財政局 調整課長
新田  一郎 氏

  • 高等学校教員の定数改善。令和3年度において過廃定数を254人措置へ拡充。(対前年度+47人)
  • 既存の小中学校におけるバリアフリー化工事に対する地方債措置の拡充。
  • 特別支援学校における医療的ケアに知見のある医師にかかわる地方交付税措置の新設。

日本小児在宅医療支援研究会 家族連絡会の発足について

医療法人財団はるたか会理事長
前田 浩利 先生

医療的ケア児の判定基準については日本医師会に無理をお願いして、1月号2月号と連続で論文を掲載させていただき、広めていただいた。

日本小児在宅医療支援研究会 家族連絡会を発足。医療的ケアということを軸に、様々な障害を抱えた方々や家族が集まっている。すでに700人の会員が集まっており、続々と増えている。意味のある会になると期待している。

当事者は「これだけ待っていた」という声を集めていきたい。また、地域ではこのような会にも入れず、孤立しているお母さんたちが多くいる。そのようなお母さんたちもつないでいきたい。

野田 聖子 議員
⽇本⼩児在宅医療研究会 家族連絡会 会⻑として

前田先生が仕掛け人。私はただの母ちゃん一人としてお手伝いさせていただければ。医療的ケア児はまだ認知されていないので、どこに助けがあるのかがわからないというのがスタートだったと思います。法律の話も進み、届くところには届くようになっていますが、まだまだら。インターネットは無限で、アナログでない情報も取り寄せることができるということが不安解消にもなると思う。好事例を全国でお見せすることで親の安らぎを作っていければ。

 

一括質疑・意見交換

舩後 靖彦 議員<代読>
すでに、わが党では医療的ケア児支援法案の今国会提出に向け、賛成の立場から推進していく合意が得られております。(*資料に全文あり)

社会福祉法人むそう NPO ふわり 理事長
戸枝 陽基 氏
多くの感謝の声を届いている。厚労省や議員の皆さんに感謝。訪問介護ステーションが医療人材を派遣してくれるときに報酬がつくということが、肝のような気がしている。介護保険の訪問看護と、医療保険の訪問看護の2つがある。介護保険の訪問看護は2.5人、医療保険の場合には2.5人以外に僕たちの事業所に派遣する人を用意しなければいけない。田舎に行くほど訪問看護の人数もいない。特に訪問介護の方達から「福祉事業所を支えたいので医療保険で2.5人の中で医療的ケア児の事業所に行けるような形にしてもらえないか」という声が届いている。ぜひそのような改正をしていただきたい。それによって実効性がさらに加速すると思う。

全国医療的ケア児者支援協議会 親の部会 部会長
小林 正幸 氏
これまで本当にありがとうございます。様々な相談がある中で、今回の報酬改定についての関心は非常に高い。当事者を代表してお礼を言いたい。一方で、送迎についての問題がある。地方では、体が大きくなりハイエースでなければ移動できないなど。今回は3ヶ月で施行とのことだけれど、そういったことも含めて実効性が高まるように、そのタイムラグができるだけ少なくなるように引き続きよろしくお願いしたい。

障害児保育園ヘレン 事務局
黒木 健太 氏
基本方針の新設や障害査定の問題など、事業者や多くの声を聞いていただいてありがたい。報酬改定は大変で、でも意義のある改定。運用に移していく中で事業者としても声を届けたり、ご協力できることをしていきたい。

障害福祉課 障害児・発達障害者支援室長
医療的ケア児支援専門官
後藤 友美 氏
枠組みとしてはやって来たけれど、事業所によって様々な形があると思う。それをどうやって受け入れていくかという運用の面は実際に不安も大きい。そこは走りながらやっていくしかないとも思っている。

荒井
今年はコロナもあり、厚労省は相当なワークになっていると思う。体を壊さないようにしてほしい。しかし、運用に大切なことが多く残っていると思う。厚労省の皆さんの運用のための様々なテクニックを駆使してほしい。

総務省が熱心に支援してくれている。これは今までなかったこと。実際にこれを運用するのは地方行政になる。そこをしっかりやっていただいたことは非常に大きい。

宮路 拓馬 議員
鹿児島でも知事に対して医療的ケア児の支援を求めて要望を行なった。そのように自発的な動きがあり、さらに意を強くした。

この改訂を受けてどう変わったのかというのを、モデルでもいいので、家族会のホームページなどで発信していただきたい。隅々まで行き届かせることは難しいが、事例がわかればうちでもこうできるというふうになるのでは。家族会の会員の数を増やしていただくとともに、そういう発信も考えていただきたい。

堀越 啓仁 議員
現場の関係者から多くの「これでやっていける」という声をいただいている。先ほどから話にも出ている運用の面について、引き続き考えていかなければいけないと思う。働き手が非常に少ない。学校で働く様々な専門家についても会として推進していかなければいけないのではないか。

日本難病疾病団体協議会
理事 斉藤 幸枝 氏
障害者の審議会部会でも発言させていただいた。予算案を見たときに、「本気で取り組んでいただけるのだ」と思い、室長にはお礼のメールもお送りした。

ぜひ考えていただきたいのは、看護師配置の2400人に対し、小学校数は1万以上あること。今回、前田先生のご努力で新スコアができましたが、うまく活用できるようにしていただきたい。軽度のお子さんたちにまで看護師さんを配置すると考えると、とても足りない。教員や他の職種の方達が入れる軽いスコアのようなものがあればと思う。看護師が配置されるのを待っていては、子どもたちはみんな卒業してしまう。

荒井
ジャーナリストの方達にも来ていただいている。長くお付き合いいただいている朝日新聞の山下さん、一言お願いします。

朝日新聞 特別報道部
山下 剛
私自身、医療的ケア児童の子どもがいることから、このテーマについて取材している。Twitterなどでも非常に関心が高い。当事者の一人として皆さんにお礼を申し上げたい。法案も報酬改定についても、ようやく「これで自分の子供が認知された」と受け止めて、喜んでいる当事者は多い。うちの子も就学することになり、付き添いをどうするかなどの問題を経験している。そのような実情を伝え、そして改善していければ。

荒井
この会を締めるにあたって。衆議院法制局の部長さんが来られるというのは、あまりないと思う。最後に長谷田さん、お願いします。

衆議院法制局 第五部長
長谷田 晃二 氏
(手続き的な問題として)委員会質疑と委員会決議については、委員長提案かメンバー提案かで違ってくる。(法制局としても)前倒しで審議に向けた準備を進めている。順調に各党の党内手続きが完了し、提案、衆参両院で賛同が得られるように、私どもももう少し頑張って参ります。

荒井
この法案は全党一致で委員長提案にしたいと思っている。けれども、これまで私が携わって来た議員立法の法案であっても、共産党さんは「質疑をしないのは立法府としておかしい」との主張をされ、一般質疑の一部を使って質疑をし、場合によっては委員会での決議ということもあり得るということで運営しています。その旨を共産党さんや国民民主党さんにもお話をしています。今日、こられている国会議員の先生方はその際には、説明要員としてよろしくお願いします。

国対と詰めていかなければいけないと思います。森山さんと安住くんと話を詰めなければいけません。それから、今後現場の話が重要になる。

この場に宮川先生*がいらっしゃればと思います。法案が成立したら、ご報告をしたい。

*学校教育に力を注ぎながら若くして急逝された自民党の故・宮川典子議員のこと。永田町子ども未来会議の設立当時からのメンバーでした。

野田 聖子 議員
委員長提案で全会一致でやりたい(成立させたい)ということなのだけれど、ここに国民と共産の議員がいない。法案の成立までに、(国民や共産の方達にも)これだけ議論を積み上げて来た法案だということを分かち合ってもらわないと。心があり任意で集まってきた会なので、全党的になってない。法案成立までに入っていただいて、というのは私からいうのは変なのだけれど。与党としては全。。会一致というのはシビアなので、不十分な形では持っていけないという国対の鉄則もある。そこをぜひ検討いただきたい。

 

荒井
わかりました。そのような方向で持って行きたいと思います。

以上

[資料]
第33回永田町子ども未来会議次第20210317
【概要】医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律案
【要綱】医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律案
【法律案】医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律案
厚労省-第33回永田町子ども未来会議令和3障害福祉改定
厚労省-第33回永田町子ども未来会議_予算関連
文科省-第33回永田町子ども未来会議
総務省_令和3年度の地方財政措置障害児教育関連
永田町子ども未来会議_前田先生資料
永田町子ども未来会議_舩後先生ご挨拶

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