2016.07.30. 北海道初「医療的ケア児支援フォーラム」を開催

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地元札幌で、この1~2ヶ月で企画から実現までの準備に注力してきた「医療的ケア児支援フォーラム」が開催されました。本当に多くの方々に支えていただき、参加者200名の大盛況のうちに終了致しました。

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NHKや道新の事前報道のおかげで、立ち見ができるほどの盛況。会場後方には、当事者であるバギーに乗ったお子さんとご家族も沢山参加されていました。

5月に改正障害者総合支援法が成立

「医療的ケア児」に対する支援を史上初めて法律に定義し、自治体による医療・福祉・教育が連携した支援の努力義務を盛り込んだ『改正障害者総合支援法ならびに改正児童福祉法』がこの春、国会で成立。

これまでの経緯については、HPやFBなどを通じて何度かご報告をして参りましたが、私も超党派の「永田町子ども未来会議」を通じて、全力で応援!
最後は厚生労働委員会での法案審議の際に、厚労委員ではないのに質問時間を譲ってもらってまで質問に立ち、塩崎大臣に対して、今後の地域と連携した支援体制の構築がいかに重要であるかを訴えました。塩崎大臣からも大変前向きな答弁をいただくことができ、全会一致で成立した思い入れの深い法律です。

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札幌のお母さんグループとの出会い、フォーラム開催へ

今回のフォーラムは、医療的ケア児のお母さんたちが携わっている支援グッズのお店を訪ねたところから始まりました。

札幌にも、北海道にも、医療的ケアを必要とするお子さんとお母さんたちがこんなにも大勢いて、声を上げる場所がなく苦しんでいたことを知りました。

今回のフォーラムには、日本で唯一の障害児専門保育園を立ち上げ、全国の医ケア児とそのご家族に希望を与え続けている、NPO法人フローレンス代表の‎駒崎弘樹さんや、障害者教育の世界では神様のような存在と称される先駆者的な教育者、下山直人先生(国立大学法人筑波大学教授・付属久里浜特別支援学校長)、改正法の実務担当者であり、永田町子ども未来会議のメンバーとして大車輪で法案成立に奮闘した厚労省の津曲共和さん(前・障害児・発達障害者支援室長)らも東京や関西からこのフォーラムのために休日返上で駆けつけてくれました。

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北海道庁・札幌市の行政関係者も参加

また、荒川北海道副知事や板垣札幌副市長にも来賓としてご挨拶を賜り、現場の行政担当者たちもフォーラムに参加して頂きました。今後、地域のなかで、医療と福祉と教育が連携して、ひとりひとりの特性に応じた一貫した支援体制をつくり、そのためのコーディネーターを育成していくことが大事なステップになってきます。板垣・札幌副市長からは、保健・医療・障害福祉、そして教育の連携を実現するためのワーキングチームを設置し、検討をスタートした旨の説明もありました。

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法律や制度をつくる政治の役割、法律を施行する霞が関の仕事、そして当事者と現場で直接かかわる自治体とがどう連携できるか。法律に魂を吹き込むための重要なプロセスです。

基調説明とパネルディスカッション(配布資料は末尾に添付)

今回の法改正の趣旨や内容、そして成立に至るバックヤードでの動き、また改正法を契機として、これから地域での具体的な支援をどうしていくか、熱いトークを繰り広げました。

当事者である家族の会代表の二人のお母さん、宮本佳江さんと関友子さんの言葉に心を打たれ、その強さに感銘を受けました。

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二人のお子さんが重度の遺伝の障害をもつ宮本さんは、「医ケア支援が法律に盛り込まれたのは希望の光です。いままでがマイナス で、やっとスタートラインへ。ここからどう変わっていこうとしているのか。当事者である親だけでなく、医療、福祉、教育に関わる方々が 変わるきっかけとなる法律」と涙ぐみながら語りました。

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看護師だった関さんは、「ここからがスタート。現場の声を届けたい。今日もバギーの子たちがいっぱい来ているが、私やりますといってくれる看護師がどれだけいるかをもっと知ってほしい。当事者が声をあげていくことが重要。私も看護師として職場復帰します」と語り、拍手に包まれました。

駒崎さんからは、日本で初めての障害児保育園ヘレンや、子ども子育て新制度を活用したマンツーマンによる訪問保育アニーの立ち上げの動機・経緯が語られました。

ヘレンでは、最初ママと離れて泣いていた子どもが、「お友達もいるからヘレンに行きたい」と成長を遂げるそう。いろいろなアクティビティを経験したり、お友達が口から食べているのを見て徐々に食べる練習をすることで経管栄養が外れた子どものケースもあるそうです。「集団保育ができて、口から食べられる医療的ケア児を断る理由がなくなった」として、その子は地元の幼稚園が受け入れてくれ、転園することができました。

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【発言要旨】

〇関係機関、事業者レベルでの連携体制を確立し、ひとりひとりのコーディネートをすること が大事。アクセス先が多いことによる負担軽減のためのコーディネーションへ(津曲氏)

〇さまざまな障害の程度の方がいる。ヘレンのような専門保育が必要な子から、成長に従って寛解していく子もおり、インクルージョン教育を目指していくが保育の分野はなかなか進んでいない。保育を含めた支援体制と、最終的には市町村でコーディネートして使ってもらうメニューの充実など、現場に対する厚労省の支援が必要(津曲氏)

〇永田町子ども未来会議の主な3つの成果として、①小児医療の画期的な診療報酬改定、②文科省による公立学校への看護師配置事業で定員3倍増、③永田町子ども未来会議での各省間の認識共有により、厚労省が「医療的ケア児」を法律に盛り込んだ改正障害者総合支援法が成立した。津曲さんの頑張りで、医療的ケア児の条文は、異例の公布同時施行された(荒井)

〇当初は学校で教員が医療的ケアも行っていたが、平成10年頃に、医師法の医療行為に抵触する問題ということで検討が必要だということに。引いた自治体もあったが、止むに止まれず黙認する自治体もあった。看護師を配置したら、ぎりぎり違法性を除却できるという指針を厚労省が示し、平成18年に制度設計に関わった。当事60名程の医療的ケアを必要とする子どもの数が、現在では8000人以上。平成24年から、教員が行うことができる3つの医療的ケアを定めたが、人工呼吸器など重度のものは教員にはできない(下山先生)

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〇看護師配置が3倍の1000人に定員増となったが、本当は特別支援学校に330名いる看護師配置は打ち切りになる話が進んでいたのが、荒井先生たちのバックアップで3倍に増え、公立学校にも配置することができるようになった。法律により現場は大いに変わっていく(下山先生)

〇厚生労働委員の国会議員ですら、医ケア児を認識していたのはわずかに数名だった現実。ここからが本当の闘い。大事なこと、すべてボランティアに頼る制度設計ではだめで、賃金なりをどう保障するか。ヘレンは東京都の特別加算があって資金的に成り立つ仕組み。平成30年の障害児保育の報酬改定に向けて、この1~2年が大勝負(荒井)

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〇報酬単価を変えないと、医療ケア児加算はないので、誰も預かる人がいない。この仕組みのままだと、地方では実現できない(駒崎氏)

〇平成30年4月1日が次の大きな節目のタイミング。障害者・障害児都市計画、医療計画が改定され、診療報酬と報酬単価改定が重なるタイミング。異動で以前より希望していた自治体現場を経験することとなったが、一緒に障害者総合支援法改正にあたった職員たちが残っているので、文科省とも議論しながら30年4月に向けた議論を進めてくれると考えている(津曲氏)

 

ここからが本当のスタートです!

パネルを見事にコーディネートしてくれた駒崎さんが、「お母さん代表の関さんと宮本さんが、子ども用車椅子のワッペンを作っている。まだまだ理解が進んでいないなかで、支援を受けながらも当事者が社会を変えていこうとする姿に感動した。池に小石を投じると、波紋ができる。波紋が折り重なって変わっていく。」とまとめ、北海道でも初の試みとなった医ケア支援フォーラムは熱気とあたたかな拍手とともに終了しました。

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もちろん、私もまた決意を新たにしています。
ここからです!
平成30年の報酬改定が勝負の年。

ヘレンのような障害児保育を、全国で待っている人たちがいます。札幌にも、北海道にも切実な声があります。

引き続き、全力を注いで前進します。

 

 

☆手作りバギーマークのお店 mon mignon pêche
http://monmignonpeche.chu.jp/about.html

 

<配布資料>
7月30日札幌講演講演資料160725駒崎氏
160730-医療的ケア児支援-資料厚労省津曲氏
280730下山直人先生資料- 資料1障害者総合支援法-1-1駒崎氏参考資料
永田町子ども未来会議.-趣旨と開催履歴荒井聰
衆議院厚生労働委員会配布資料20160511衆議院議員荒井聰