2017.5.24 国土交通委員会(不動産特定共同事業法改正)

2017年5月24日に国交委員会にて不動産特定共同事業法改正について質疑いたしました。

詳細な議事録はこちらから(平成29年05月24日国土交通第19号 荒井委員)。

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1)小規模不動産特定共同事業制度の創設に関する背景について

不動産特定共同事業自体がまだ不動産業界全体の3%程度しか利用されていないことがきちんと分析されているのか、またその分析が今回の小規模の場合に反映されているのかどうか質しました。

全国で空き家、空き店舗が増加する中で、民間の意欲ある事業者が再生、活用する取り組みが拡大しつつあるものの、現行の不動産特定共同事業には資本金1億円以上が必要であるため、地方の不動産会社はほとんど参入できない。この仕組みを地方に拡げていきたいというのが趣旨という説明を受けました。

2)投資家保護について

資本金要件を1千万円に下げることにより、新規参入が容易になり、業者の質が下がることについて質しました。

政府参考人より、以下の答弁をいただきました。

①現行の法律でも、宅地建物取引業の免許が必要であること、一定の資本金が必要であること、不当な勧誘の禁止などの行為規制が課されていること、などによりその業務の適正な運営を確保されている。

②小規模不動産特定共同事業に関しては、さらに、出資額の上限を定めることを考えている(個人の場合は100万円)。

③事業者が投資家から集めることのできる出資総額の上限を1億円と定めることを考えている。

④登録制度および5年ごとの更新制度の導入する。

⑤違反者への罰則適用。

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また、クラウドファンディングを利用することに関して、どう投資家を保護していくかについても質しました。

政府参考人より、以下の答弁をいただきました。

①許可申請の審査に当たり、事業者の財務状況や実施中の事業の状況などを投資家がインターネットを通じて閲覧できる措置を取らなければならない。

②クラウドファンディング事業者に対して、募集される事業の計画に関する適切な審査を行うための措置を取らなければならない。

③事業リスクの説明を徹底すること、顧客属性に応じた適切な勧誘、販売体制の確保、インターネット上での広告や契約内容の説明のあり方について具体的な指針を示す。

3)指導監督について

クラウドファンディングにあまり経験のない都道府県が指導監督することについて質しました。

地方整備局及び都道府県で宅地建物取引業法に基づく指導監督をしているうえに、本省に蓄積されている不動産特定共同事業に関するノウハウが共有されるように取り組んでいきたいという答弁をいただきました。

4)まちづくりへのNPOの活用について

地方で新しい試みに対して新しい感性を持っているNPOの人たちを上手に人材育成の中に組み込まれていく仕組みになっていないのではないかという指摘をしました。

不動産会社のノウハウ、地元との密着度、それとまちづくりNPOなどの企画力、市区町村などの街づくりの考え方がうまく連携をとれるように、その中で人材も育っていく、こういうふうな取り組みを地方で進められるように、必要な支援をしていきたいと述べられました。

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5)空き家対策への効果について

小規模不動産特定共同事業が空き家対策に極めて有効な手段ではないかという指摘をしました。

石井大臣は、空き家、空き店舗の再生の取り組みを加速させ、地方創生の実現に貢献することが主目的であり、セミナーなどの実施により制度の普及啓発を進めるとともに、地方公共団体や事業者等のネットワークづくりや優良事例の横展開を積極的に進める決意を述べられました。