衆議院国土交通委員会での質疑(日本の住宅政策)

「宅地建物取引業法の一部を改正する法律案」について質疑。質問の大きなポイントは以下の点です。

  1. 内需の柱である住宅政策によって経済全体を底上げするためには、中古住宅市場の活性化やそれに伴うリフォーム市場の拡大が不可欠
  2. 「囲い込み」や「両手取引」等の悪弊が商慣行化し、業者が情報を
    独占する「情報の非対称性」が不動産業界の特徴と、業界体質の抜本改革
    の必要性を指摘
  3. 大手による囲い込み・両手取引の業界慣行の裏側で、とりわけ地方の宅建業者は売り物件を扱うことができない。また物件価格に応じた現在の手数料率の仕組みでは建物管理や駐車場管理でかろうじて食いつないでいるという現状も耳にする。こういった実態を看過すれば、地方における不動産流通は一層鈍化する可能性を懸念。
  4. 本来、国民の資産であるべき住宅が、木造住宅の場合、築約20年で資産価値ゼロになることは、成熟型社会への移行のなかで、公平かつ合理的な仕組みであるのか、再考が必要だと問題提起。
  5. 今後、住宅の長寿命化やストックマネジメントによる高付加価値化を進める方向の中で、税制優遇のあり方について抜本的な見直しも必要ではないかと指摘。

■質疑全体の議事録はこちらから(PDF

■委員会配布資料:都道府県別宅地建物取引業者数推移(PDF)

私は、かねてより不動産業とりわけ中古住宅の流通促進について取り組んできました。
一昨年には、議員立法で空き家法が成立しましたが、この背景には住宅をどんどんと
新築し、既存住宅が空き家化するという日本の独自の慣習がありました。これまでの新築政策から中古住宅政策への大きな転換の重要性を踏まえ、質疑しました。

耐震化、省エネ性能の向上を図るリフォームへの補助・税制支援等、本宅建業法改正案
について答弁がありました。

現在、居住可能な空き家で市場に流通していない住宅が全国に150万戸あると言われて
いますが、その原因として日本の家は「資産」として適正に評価されないという現状があります。

日本の内需拡大につながる中古住宅の流通には、リフォーム市場の活性化と共に、
要であるその適正な評価が欠かせません。今後、このインスペクション制度の更なる普及と、その情報開示に基づく不動産業の透明化へつながる事を期待し、引き続き取り組んで参ります。

数年前から超党派国会議員、有識者、民間や国交省関係者らとともに、中古住宅市場の
活性化策について検討会を続けています。今回の宅建業法改正案によるインスペクション導入を一段目の契機として、今後、リフォーム市場の拡大や、良質で安価な住宅を
子育て世代に提供することなどによる内需底上げ効果を発揮できるよう、
住宅政策を誘導していきたい所存です。

□質疑の様子は、衆議院TVのビデオライブラリーで視聴可能です。
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php