2020.06.03 国土交通委員会

6月3日(水)に開催された、衆議院国土交通委員会にて質疑に立ちました。冒頭、Go To キャンペーン事業の3,000億円を超える事務経費が委託事業の常軌を逸していることについて厳しく指摘し、赤羽国務大臣と議論しました。また、JR北海道再建問題について質疑しました。「JR北海道問題は鉄道マンが本来解決しなければならない問題」「JR北海道問題について取り組むならば、赤字路線全てに乗車してみるべし」と多くのご教示をいただいた、JR東日本元社長の松田昌士さん(本年5月19日にご逝去)のへの哀悼と共に、来年の国鉄民営化30年目である節目に向け、経営の自主性ならびに先送りではない抜本改正の必要性を強く提起しました。JR北海道の経営再建は、鉄道局にとどまらず、国交省にとって大きな課題であるという認識を赤羽大臣と共有できたと思います。

1)Go To キャンペーン事業について

〇荒井聰発言

  • 事務経費が全体経費の2割に及ぶことは過剰であり、減額補正をするべきです。政府与党に近しい業界や企業を通すのではなく、国の施策は国家行政組織法に則り進めるべきで、事務経費は都道府県を通じて観光協会や商工会議所にて使用されるべきだと考えます。

〇赤羽大臣の回答

  • 全体経費の2割を事務経費が占めることについて、過去の例に照らし、全く根拠がないわけではないと思います。しかしながら、説明責任が付くような形で出来るだけ国民の皆さんの税金を可能な限り縮小する姿勢で臨みたいと考えています。

○この質疑については、テレビや新聞等の報道でも取り上げられました。

毎日新聞「GoToキャンペーン 国交相、異例の金額と認め縮小言明 業者選定過程は公表せず」

朝日新聞消費喚起策、委託費3000億円 総額の2割 巨額、国会で批判 補正予算」(有料記事)

 

 

2)JR北海道再建問題について

  1. 新型コロナによるJR2島経営悪化・補正予算等での対策・対応状況

〇荒井聰発言

  • JR2島の北海道と四国はもともと構造赤字のところにコロナによる大きなダメージを受けています。現状認識と対策をお聞かせください。

〇赤羽大臣の回答

  • 2社においては、大変厳しい経営状況にありながら、コロナの感染拡大下においても公共交通機関の使命を果たして下さっていることに大変感謝しています。JR北海道のグループ全体で令和元年度の決算は62億円の減収となっています。新たなに日常、環境変化に適切にまた持続的に対応していけるよう取り組みます。
  1. 国鉄民営化の総括と課題・抜本改革の必要性について

〇荒井聰発言

  • 私が北海道内の単独維持困難に指定されている全赤字路線に乗車してみて分かったことは、JR北海道の最大の課題は地域の市町村や経済界から愛されていないという事でした。JR北海道の経営方法に大きな課題があったのだと思います。抜本改革ができないという大きな原因をどうお考えでしょうか。

〇赤羽大臣の回答

  • 民営化後、30年間で人口や道路環境が変化し、鉄道事業者は全国的に厳しい状況にあると思います。国もできる限りのことをしてきましたが、やはり北海道内の市町村とJR北海道が一体となる姿勢なくしては、持続可能性はないのではないかと思います。大変重要な公共交通機関の柱としてしっかり取り組んでいきます。
  1. 経常赤字3百億円の解消についての提案

〇荒井聰発言

  • 経営安定基金の運用益分でペイできると計画していた赤字300億円の解消が経営上の大きな課題です。赤字の主な要因である、旅客収入の妨げに繋がるJR貨物とのアボイダブルコスト(※)の契約内容の見直しを提案。操業開始より乗車率が20%程度と低く、コロナによりさらに厳しくなった北海道新幹線事業については、札幌延伸工事が終わるまで運休し遊休資産の売却を進めるなどの赤字圧縮策を検討すること、本来、新幹線の為に作った青函トンネルとして運行方式を考え直すことが必要だと思います。

※アボイダブルコスト…JR貨物がJR旅客各社に支払う線路使用料のうち、貨物列車が走行しなければ回避できる経費(摩耗によるレール交換費用など)のみJR貨物が負担するルール。民営化時の導入。

  1. 北海道開発予算の活用・援用策について

〇荒井聰発言

  • JR北海道には新千歳空港駅のホーム改良、新千歳空港とのアクセス向上等によって、ビジネスチャンスはまだまだあります。北海道開発局が持つ北海道開発予算は、現状では道路や河川など特定の事業にしか使うことが出来ませんが、既成概念にとらわれず、例えばJR北海道の維持困難な路線の修繕・更新費用分、空港との相互乗り入れなどの交通インフラ整備のために北海道開発局と道庁が一緒になって予算を取りに行くというようなことがあって良いと考えます。

〇赤羽大臣の回答

  • 北海道には優れた観光資源があります。コロナの影響に夜落ち込みから復活していく中においては、地元自治体や関係者とJR北海道が一緒になり取り組み、JR北海道に入社する人が増え、北海道の為に頑張る人材を育成するという覚悟をもって、知恵を出して取り組んでいきます。

 

【資料】
令和02年06月03日衆議院国土交通委員会議事録速報

以上