2017.6.7 国土交通委員会(JR北海道)

2017年6月7日に国交委員会にてJR北海道問題について質疑および提言いたしました。

詳細な議事録はこちらから(平成29年06月07日国土交通第23号 荒井委員)。配布資料は文末にあります。

1)会社は誰のものなのか

JR北海道の問題として、利用者や社員、地域ではなく、株主である国を見て事業をしていたのではないかと指摘しました。この社内風土をまずは変えないといけないと述べました。

国交省は、以下のように答弁され、JR北海道を評価されていました。

① 国鉄改革により、国の監督規制は必要最小限にとどめ、JR各社が当事者能力を発揮できる体制になっていること

② JR北海道の「私たちの誓い」という冊子の中で、「お客様あっての私たち」、「感謝を忘れず仕事します」と宣言されていること

③ 支社ごとにいろいろなパック商品や観光列車の運行など努力をしていること

2)国鉄改革30年の総括の必要性

国鉄改革10年で、平成8年度の運輸白書で、国鉄改革について総括を行いました。この運輸白書に基づいて、その後の改革が行われたが、その後、このような総括は行われておりません。こうした総括を再度するべきだと指摘しました。

国交省は、10年ごとというのを意識して取り組んできたかというのはわからないが、累次の措置を講じてきたこと、また、今後は、道庁と連携しながら、沿線地域との協議に参画し、持続可能な交通体系の構築に向けた対応につき検討していく旨、述べられました。

3)経営安定基金の運用益減少について

国鉄改革時、JR北海道の経営安定基金の運用益は498億円であることが前提であったこと、その後、金利低下により30年で約4600億円、運用益が目減りしたことを指摘しました。その一方、国鉄長期債務を承継した本州3社および国が実質的に利子負担が削減になったことも指摘しました。

国交省は、金利の変動は当初から想定されたことであり、基本的にはJR北海道の経営努力によって対処されるべきことであることを述べ、そのうえで、運用益の下支えなどの支援をしてきたことを述べられました。

4)JRの相互扶助

原賠機構法に基づく賠償スキームのように、JRがそれぞれ負担金を出し、それで相互に扶助するような仕組みができないか質しました。

国交省は、このような仕組みでは、JR北海道や四国を助けるばかりで相互扶助にならないのではないかと指摘されました。また、負担する側の鉄道事業者の株主の理解を得るのが難しいのではないかと見解を示されました。

これに対し、原賠機構法のときも大変難しい議論だったことを指摘しました。

5)赤字解消が困難であることについて

JR北海道が維持困難と発表している13線区をすべて廃止したとしても、140億円程度、赤字であることを指摘しました。

国交省は、沿線地域との協議のほか、運賃改定、利用促進策、効率化、関連事業の強化などにより、利益の拡大に努めるべき旨、答弁されました。

6)青函トンネルについて

青函トンネルは、旅客と貨物が共用走行しているために保守の時間が十分とれない、したがって、事故が起こってしまう可能性を指摘しました。また、その解決策として、貨物のフェリーによる運送を提案しました。

7)海岸事業

民間が海岸事業をすることは、見直されるべきだという指摘をしました。

8)経営改革

民間の経営者を公募することを提案しました。この場合に、線路はJR北海道が持ち、運行を他の民間会社に委託してみるという、逆の上下分離を提案しました。

9)線路沿いに送電線設置

北海道北部での風力発電に必要な送電線を宗谷線沿いに設置することを提案しました。これにより、送電線の用地取得の手間や費用が削減できるのではないかと思います。

10)線路の高規格道路への切り替え

維持困難な路線を高規格道路にして、BRTに切り替えることを提案しました。

11)新しい技術の利用

アメリカで保線にドローンを利用する試みがあることを紹介し、新しい技術の利用を提案しました。

12)バスとの競争

最後に、バスと鉄道が競い合っていくことが、地域の振興策に意味があることではないかという指摘をしました。

<配布資料>

資料①質疑俯瞰図

資料②国鉄民営化に関する年表

資料③、④グラフ

資料⑤20170511-JR北海道年表(改訂版)

資料⑥「持続可能な交通体系の構築」と今後の経営収支

資料⑦青函共用走行区間におけるダイヤ

資料⑧原賠機構法における被災者賠償の分担

資料⑨貨物調整金の適用区間について

資料⑩道新記事海岸事業

資料⑪東洋経済オンライン記事しなの鉄道

資料⑫送電線図

資料⑬日高自動車道

資料⑭朝日新聞記事ドローン